DEATH FROM ABOVE 1983

陰鬱音楽集
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KLAUS SCHULZE 「kontinuum」
klausschulze1

★★★

2007年最新作。全3曲75分収録と、大作を好む作風は相変わらずだ。音の方もある意味では典型的とも言える「シュルツェ節」を継承しており、割と無難な感じはする。ただ、ここで聴けるシュルツェ節というのは、最近のデジタル・ビートを多用した「踊れる」作品のものではなく、70年代の暗く美しい「浸れる」作品のものであるということは書いておかねばなるまい。要するに、新機軸は何もないけれど、一番素晴らしかった時期の音が戻ってきているということなのだ。上で「ある意味では」と書いたのはそういうこと。

1曲目は、「蜃気楼」を思い起こさせる透明な音の結晶がミニマルに響き渡る冒頭からしてとにかく美しい。後半になると地響きのような低音と不穏なストリングス・シンセが加わり、かつての作品で聴けた不気味な風景が蘇る錯覚すら覚える。2曲目も重低音とストリングス・シンセの組み合わせからスタート。徐々に抑制された歌声やシーケンサーによるリズムが絡み始め、音に熱が籠り出す。とはいえ、ここでも音の質感は限りなくダーク。「イルリヒト」、「サイボーグ」程とは言えないまでも、「ムーンドーン」、「デューン」級の暗さは確かに存在する。3曲目は、轟く雷鳴の音で幕を開ける。このアルバム中最もリズムの要素が強いが、それでも高揚感はない。内に籠る鼓動のようなリズム。徐々に音は霧を思わせるアンビエント・サウンドに収斂していき、雷鳴の音と共に幕を閉じる。

全体のトーンはダークな色彩に統一されており、近作にあった取っつき易さは全く感じられない。そうした作風ゆえ、どうしてもバラエティに乏しくなりがちで、ものすごく地味に思えてしまう。即効性も薄い。だからこそ、聴きこまなければ真価は分かりそうもない。この評価の低さはそういった意味である。決して悪いわけではない。70年代に近いとはいえ完全な焼き直しでもない。非常に長く付き合っていかねば評価できない作品だという予感がする。
CONRAD SCHNITZLER 「grun」
conradschnitzler5

★★★★

色シリーズ第5弾作品。シリーズ5作目にして最終作となる本作は、72年から73年にかけて録音された楽曲を集めたアルバム、つまり、普通ならば「アウトテイク集」と呼ばれる類のアルバムである。しかし、そこはやはりシュニッツラー、ゴミの寄せ集めのような作品になっている筈もなく、アウトテイク集などと形容するには勿体無いくらい素晴らしい作品に仕上がっている。流石だ。

収録曲は2曲(ボーナストラック除く)。当然、2曲共べらぼうに長い。1曲目は、夢と現を行き来する澄み切ったアンビエント・サウンドに、ドンドコドンドコと小気味よく鳴らされるリズムを加えたミニマル風長尺曲。恐らく、シュニッツラー史上最も美しく、最も気持ち良いトラックである。アンビエント・ミニマル好きならば絶対に聴いておくべきだ。2曲目は、1曲目と同じように反復と循環をその中心とする曲であるが、構成する音の質感は全くといっていいほど違う。アンビエント的色彩は欠片もなく、代わりにシュニッツラーお得意の変態電子音が所狭しと飛び回っているのだ。「赤」「青」を彷彿とさせるミュータント電子音楽と、「緑」の特徴であるミニマル風曲展開を上手く組み合わせたという意味では、総まとめ的楽曲であるともいえる。

色シリーズを強引に分類すると、混沌と閉鎖感を象徴する「黒」、変態電子音を極限まで追求した「赤」「青」、比較的聴き易い「黄」「緑」となる。当然、嗜好により好みが分かれるとは思うけれど、個人的には聴き易さと中毒性を併せ持った本作「緑」を強く推したい。底なし沼にはまるように、音にズブズブと意識を吸い込まれる快感は唯一無二だ。どの作品から聴いていいのかいまいちよく分からない、という時には、是非本作を。
KLAUS SCHULZE 「le moulin de daudet」
klausschulze3

★★★

通算37枚目となる作品は、フランス映画「ドーデの水車小屋」のサウンドトラック・アルバム。1曲平均3分程度と非常に短い曲が並ぶ、シュルツェにしては珍しいタイプの作品である。

とはいえ、音楽性自体は殆ど変わっていない。即座にシュルツェだと分かるロマン派シンセサイザー・サウンド、「勝廾聞澆領れを組むクラシカルな旋律は本作においても十二分に堪能できる。ただし、完全にいつも通りの音かといえばそうでもなく、サウンドトラックという点を考慮したと思わしき部分も幾つかある。それは、ー柴盂敕な音を志向していること、▲ぁ璽検璽螢好縫鵐扱晃が強いこと、ビートをほぼ排除していること、の3点である。また、「古き良きヨーロッパ」的色彩を必要以上に強く主張していることも、映画音楽ならではといえるかもしれない。

以上のように、本作は、「シュルツェ・サウンドを映画に合わせた形に作り直した」、といった趣の作品である。よって、シュルツェ以外の何物でもない音世界であると同時に、ある種の聴き易さ、新鮮さをも兼ね備えている。ワンパターン化した90年代作品にウンザリした時にこそ、本作のように「異質」な作品を聴くべきだ。
CONRAD SCHNITZLER 「gelb」
conradschnitzler4

★★★

色シリーズ第4弾作品。長尺曲を中心にしたこれまでの作品とは大きく異なり、各曲が2分〜6分(ボーナストラック除く)と非常にコンパクトになっている。その為、シュニッツラー作品の中では群を抜いて聴き易く、また、親しみ易い。

とはいえ、音楽性の方はさほど変化はなく、やっていること自体は「赤」「青」とそう違わない。あえて異なる点を挙げるとすれば、メロディがはっきりした曲が増えたこと。前作の延長線上にある抽象絵画的音響曲、踊る為ではなく覚醒する為にリズムを際立たせた曲といった御馴染の楽曲の合間に、シンセサイザーによる異空間的メロディを配した比較的分かり易い曲が登場する。また、変態電子音と変則リズムを完全に排除したアンビエント曲も見受けられるなど、楽曲の振り幅は過去作品以上に広がった感がある。

難解極まりない色シリーズの中では、確実に本作が一番馴染み易い。しかし、あくまで「シュニッツラーにしては」という程度の馴染み易さである為、過度にメロディアス&キャッチーな作風を期待するとガッカリする可能性がある。注意して欲しい。結局、小曲だろうと長尺曲だろうと、メロディがあろうとなかろうと、シュニッツラーはシュニッツラーでしかない、ということだ。
CONRAD SCHNITZLER 「blau」
conradschnitzler3

★★★

色シリーズ第3弾作品。シリーズ中最も高い評価を得ている一枚である。なるほど、確かにここで聴ける水晶のように透き通った音は、多くのリスナーを惹き付けるに十分な魅力を持っている。最高傑作と評されるのも納得できる。

収録曲は2曲(ボーナストラック除く)。相変わらず1曲1曲が長く、それぞれ20分程度ある。1曲目は、シュニッツラーにしては落ち着いた雰囲気を持った曲。彼方からうっすらと響く冷たいメロディに、跳ね回る細胞のようなリズムがまとわりつく。クラスターに通じるユーモラスな感触も随所に見受けられるものの、やはり音の背後には得体の知れない不気味さが透けて見える。2曲目は、弾ける水飛沫を連想させるリズムが印象的な曲。1曲の中での曲調の変化が激しく、何度聴いても飽きが来ない。70年代にしてこの革新性は、今更ながら凄まじいの一言だ。

「黒」「赤」以上に耳馴染みがよく、それでいて驚くべき革新性・実験性を持った本作は、名実ともにシュニッツラーの極点といえる作品である。音響系に多少なりとも興味があるのであれば、一度聴いてみることをお薦めしたい。
CONRAD SCHNITZLER 「rot」
conradschnitzler2

★★★

色シリーズ第2弾作品。「黒」にあった得体の知れない呪術感は薄れているものの、相変わらず意味性の全く感じられない抽象的な音を鳴らしている。変化した点といえば、楽器音を電子音に置き換えたこと。全編を通じて尖った変態電子音が炸裂する。

1曲目は、持続する発信音と奇妙な電子音を組み合わせた、アヴァンギャルド・エレクトロニカの先駆けともいえる曲。グチャグチャ、ピチャピチャ、ピュルピュルといった気持ちの悪い音が駆けめぐる。2曲目は、軽快なリズムに奇天烈な電子音を被せた、割と輪郭のはっきりした曲。冷徹・重厚な音の合間に見え隠れするユニークな感触がたまらない。ボーナストラックである3曲目は、2曲目にアンビエント色を僅かに付け足した感じの曲。倒錯した音響の向こうに、夢を思わせる安らぎが透けている。

全3曲65分、ただただ音に身を任せるといった聴き方をすると、このヘンテコ極まりない電子音楽の良さが多少なりとも分かる、かもしれない。積極的に「聴く」音楽ではないかもしれないけれど、何も考えずにぼーっとしている時には重宝しそうだ。
KLAUS SCHULZE 「picture music」
klausschulze2

★★

前2作で用いていたオーケストラとオルガンによるドローンを脱却し、シンセサイザーをサウンドの中心に据え始めた3作目。今作以降、徐々にシュルツェ節ともいえる荘厳なシンセサイザー・サウンドが確立されていく。まだ過渡期とはいえ、ここでも彼独特の空間を歪めながらうねるメロディは既に多用されている。

1曲目は、ポコポコと音を立てるシーケンサーのリズムが特徴的な曲。浮遊する美しい音色と共に、呪術的・内省的な雰囲気をじっくりと醸成していく。後のシュルツェ・サウンドの原点ともいえる、重要な1曲だ。2曲目は、珍しく自身によるドラムを炸裂させる「ロック」色の強い曲。シュルツェ名義では最初で最後となる、疾走感のあるパーカッションに耳を惹きつけられる。ボーナストラックである3曲目は、1曲目のロング・ヴァージョン。シンセサイザーの重厚な音色が木霊するパートが後半に付け加えられているが、かえって蛇足気味に感じられた。この部分に関しては、余計な付け足しはない方がいいかもしれない。

3曲を合計すると70分を越える超長編でありながら、その異様な音空間に浸っているとあっという間に時間が過ぎている。やはりこの辺りは流石の一言だ。しかし、一方で、以降の作品に比べると楽曲自体の魅力に乏しく、あらゆる意味で今一つに感じるという問題点もある。新機軸を打ち出した記念碑的な一枚であるだけに、手放しでは絶賛できないのが残念である。
CONRAD SCHNITZLER 「schwarz」
conradschnitzler1

★★

タンジェリン・ドリーム、クラスターといった、ドイツを代表するアヴァンギャルド・ロック・バンドを渡り歩いてきた変態電子音楽家、コンラッド・シュニッツラー。本作は、彼の初期作品の中では比較的知名度の高い、通称「色シリーズ」の第1弾を飾るアルバムである(ただし、共作者としてメビウス、ローデリウス両者の名前がクレジットされていることからも分かるように、実質的にはクラスターの3作目といっても差し支えない内容ではある)。

アルバムは、25分を越える長尺曲2曲からなる(ボーナストラック除く)。とはいえ、1曲目、2曲目共に「曲」といえる体裁のものではない。ここで聴けるものは、単なる「音」であって、それ以上でも以下でもないのだ。どういうことかというと、一般的に音楽に求められる、「メロディ、リズム、リフレイン」といった要素が、全くといっても過言ではないほど存在していないのである。あるのは、変調された楽器音・電子音の羅列、もっといえば、切れ目なく繋ぎ合わされた得体の知れない音の連続なのだ。よって、当然のように、楽曲の良さ、聴き易さなどというものは期待できない。作品の評価は、いかに音それ自体に没入できるか、肌で世界観を感じることができるか、にかかっている。

正直に言うと、このアルバムを積極的に聴きたいと思ったことはほぼない。流しておきたいとすら思わない。あまりに抽象的・非音楽的すぎて、どこをどう楽しんでいいのか全く分からないのだ。一度聴けば十分である。現代音楽、ノイズがよっぽど好きなのでなければ手を出さないほうがいいだろう。
KLAUS SCHULZE 「cyborg」
klausschulze1

★★★

虚無と絶望を綴った暗黒音響絵巻「イルリヒト」に続く作品。2枚組・5曲150分(うち、ボーナストラック50分)という凄まじいボリュームで、またもや救いようのない漆黒の闇を描写する。タイトル通り人間性を徹底的に排除したその音は、シュルツェの全作品の中でも屈指の重苦しさを誇る。

作風は前半2曲、後半2曲で大きく異なる。前半は、前作「イルリヒト」を正統に継承する、冷たい音色が基調となったドローン風長尺曲からなる。この世のものとは思えないほど凍てついたオルガンの音が戦慄を呼ぶこれらの曲からは、えもいわれぬ不気味さと危うい美しさを同時に感じることができる。後半は、シュトックハウゼンらを想起させる現代音楽風の楽曲で構成される。後のアンビエント、もしくは音響系の先駆けともいえる前衛的な音作りが新鮮だ。当然、ここで聴ける不穏極まりない音色からも、絶対的な虚無感が溢れ出している。ちなみに、ボーナストラックは、本編とは完全に趣を異にする上に、ダラダラとした「どうでもいい」曲である。何故この曲を本作に収録したのか全く理解できない。あくまでおまけ程度と考えるべきだろう。

本作は、各曲が25分程度ある上に、殆ど展開らしい展開がない平坦な音である為、普段電子音楽を聴かない層には若干厳しいと思われる。もしもシュルツェを初めて聴くのであれば、この作品は避けたほうがいいかもしれない。分かり易さではなく、精神性と前衛性を最重要視する上級者(あるいはマニア)向けの一品である。

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